医療現場のヒューマンエラー対策ブック

執筆の動機
2014年に「医療におけるヒューマンエラー 医学書院 2004」を大幅に書き換えました。第二版の一番の違いは、人間の行動モデルを入れ、分析手順を大幅に改良しました。特に、分析手法に取り入れた人間の行動モデルのうち、最も重要なモデルは、レヴィンの行動の法則「B=f(P, E)」でした。
しかし、なかなかこのモデルを理解してもらえないという現実を直視し、この部分を丁寧に説明しようと考えました。
さらに、ヒューマンエラー対策の考え方を「医療におけるヒューマンエラー」で紹介しましたが、もっと分かりやすく、具体例を入れて現場で役立つようにとフォーマットを決めて紹介することにしました。

訴求ポイント
人間の行動モデルを中心に説明しました。インタビューの中で概略を説明し、本文でさらに丁寧に説明しています。
対策についても考え方を説明しました。
このフォーマットを使えばヒューマンエラー対策のデータベースが構築できるでしょう。

執筆の工夫
対策について一枚のシートで具体例を入れて説明しました。検索しやすいようにフォーマットに工夫があります。
能力管理については、院内でどのように展開していったか、実際の例(東京女子医大病院)を紹介しています。

こんな人に読んでいただきたい
病院の医療安全に関係した医師、看護師、薬剤師、その他の医療関係者、医療安全の教育担当者にも読んでいただきたいと思っています。

読むと何が得られるか
ヒューマンエラーのメカニズム、エラーに関する人間の基本的特性、対策の考え方、対策の発想手順、および、発想手順に基づいた具体例、などが理解でき、現場に応用することができると思います。

医療におけるヒューマンエラー 第二版

執筆の動機
医療のことをまだ十分に理解していないにもかかわらず、いろいろな医療機関から講演の依頼、ヒューマンエラー分析手法実習の指導の依頼が来ました。講演では、私の考える安全の考え方を解説し、分析指導では、原子力発電所の運転員が自分たちで分析できる手法であるH2-SAFERを開発していましたので、それを医療におけるヒューマンエラーに適用できるように書き換え、Medical-SAFER分析手法として紹介しました(第1版)。
最初は、ヒューマンエラー分析手法の手順を紹介するつもりでしたが、正しく分析するためには、考え方が重要であることに気づき、急遽、第一部を付け加え、第一部を理論編、第二部を実習編として書きました。
その間に、ヒューマンエラーメカニズムをもっとうまく説明できないだろうか、また、分析をもっとうまくできないだろうかと工夫を重ねてきました。 Medical-SAFER分析手法の問題点を改良するためには、行動モデルを入れればうまくいくことに気づき、分析手法の考え方、手順を大幅に改良し、ImSAFER分析手法を開発しました。
第一版と第二版の大幅な違いは、人間の行動モデルの採用で、これに基づき第二版として改訂しました。

訴求ポイント
第一部は、主に安全の考え方をヒューマンファクター工学の観点から書いてあります。このヒューマンファクター工学の考え方は人間の介在の多い医療システムには取り入れるべき重要な考え方だと思います。
第二部は、医療事故調査の中で取り入れるべき分析の考え方と具体的な手順が書いてありますので、病院の医療安全関係者にはぜひ理解していただきたい分析手法です。

執筆の工夫
理論編と実習編に分けてあります。まず、理論編を理解していただくと、実習編におけるImSAFER分析手法は、この考えに基づいて手順としてまとめてありますので、理解が早いと思います。

こんな人に読んでいただきたい
病院の医療安全に関係した医師、看護師、薬剤師、その他の医療関係者
事故調査員、医療安全の教育担当者にも読んでいただきたいと思っています。

読むと何が得られるか
ヒューマンエラーのメカニズム、エラーに関する人間の基本的特性、対策の考え方、対策の発想の仕方、具体的なエラー事象の分析手法、安全なシステムの考え方、などを理解することができ、今後のエラー対策だけでなく、現場で働く人の満足感が得られるような改善の方法についてのヒントが得られると確信しています。