獨協医科大学SDセンター主催 医療安全管理者養成研修

2021年度医療安全管理者養成研修で、11月1日(講義)と2日(分析実習)の二日間、講義と技術指導をしました。 医療安全管理者養成研修はいろいろな組織の主催によって行われていますが、一つの医科大学で独自の養成研修を行っているところは、私の知っている限り、獨協医科大学だけだろうと思います。
毎年40~50名の同大学系列の職員が研修を受けています。ということは、毎年数十名の医療安全について医療安全管理者レベルの基礎知識を持った職員が養成されていることになります。
「医療安全は極めて重要である」という明確な考えで実施されていますが、これは獨協医科大学の安全文化醸成と業務改善の大きな力になると考えられます。なぜならば、医療安全を実践するためには、職員のやる気と科学的合理性が必要とされるからです。
J.リーズンは、彼の著書「組織事故」のなかで、「安全戦争(Safety War)」という言葉で、安全の取り組みを例(たと)えています。私自身が防衛大学校で学んだこともあり、この例えは実に上手いと思いました。
戦争に勝利するためには2つの条件が必要とされます。一つは、「兵士の士気」であり、もう一つは「科学的合理性」です。同様に、病院の医療安全を推進するためには、まず、職員のやる気が必要であるのは当然ですが、単にやる気だけでは限界があり、さらに、人間の行動特性や環境の与える影響に関する知識、業務の合理化の知識や活動などが必要なのです。
この研修においては、チーム力が重要であるということで、病院側の強い要求でグループワークにより分析実習が行われました。参加した職員が与えられた課題解決に積極的に取り組む様子が見られました。

写真1 効率的な分析には、リーダーがメンバーに「仕事を割り振る」とよい。
写真2 時間軸に沿って関係性を「見える化」するために時系列事象関連図を作成する。
写真3 分析には「事実の把握」が最も重要である。