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新聞やテレビなどの報道、そして最近はインターネットのニュースを検索すると、たくさんの事故が発生しているのが分かります。たとえば、薬剤の過剰投与による医療事故、整備不良による航空機事故、ブレーキとアクセルを間違えて発生した交通事故、ガスコンロの火を消し忘れて発生した火災事故、オペレータが誤ったスイッチを操作したために発生した工場での爆発事故など、種類も規模の大きさもいろいろです。結果的にたくさんの犠牲者の発生した事故や、あるいは、交通管理システムや金融システムなどの障害により、非常に多くの人々の生活に大きな影響を与えた事故もあります。私たちは、このような事故をなんとしても防がなければなりせん。
これらの事故の原因を調べてみると、不幸にも偶然が重なって発生したものもありますが、それらは少数で、人間の判断や行動が結果的にエラーとなり、不幸な事故をもたらしたものが非常に多いということに気が付きます。事故に結びつくようなヒューマンエラーはなんとしても防がなければなりません。
このヒューマンエラー対策を総合的に推進するための組織として「株式会社 安全推進研究所」を設立しました。ただし、株式会社と言っても、実態は私一人しかおりません。活動には限界があると考えられますが、一生懸命に取り組んでいく覚悟です。
どうぞよろしくお願いいたします。

代表取締役 所長自治医科大学名誉教授 河野龍太郎 

                   

                                

医療におけるヒューマンエラー 第二版

執筆の動機
医療のことをまだ十分に理解していないにもかかわらず、いろいろな医療機関から講演の依頼、ヒューマンエラー分析手法実習の指導の依頼が来ました。講演では、私の考える安全の考え方を解説し、分析指導では、原子力発電所の運転員が自分たちで分析できる手法であるH2-SAFERを開発していましたので、それを医療におけるヒューマンエラーに適用できるように書き換え、Medical-SAFER分析手法として紹介しました(第1版)。
最初は、ヒューマンエラー分析手法の手順を紹介するつもりでしたが、正しく分析するためには、考え方が重要であることに気づき、急遽、第一部を付け加え、第一部を理論編、第二部を実習編として書きました。
その間に、ヒューマンエラーメカニズムをもっとうまく説明できないだろうか、また、分析をもっとうまくできないだろうかと工夫を重ねてきました。 Medical-SAFER分析手法の問題点を改良するためには、行動モデルを入れればうまくいくことに気づき、分析手法の考え方、手順を大幅に改良し、ImSAFER分析手法を開発しました。
第一版と第二版の大幅な違いは、人間の行動モデルの採用で、これに基づき第二版として改訂しました。

訴求ポイント
第一部は、主に安全の考え方をヒューマンファクター工学の観点から書いてあります。このヒューマンファクター工学の考え方は人間の介在の多い医療システムには取り入れるべき重要な考え方だと思います。
第二部は、医療事故調査の中で取り入れるべき分析の考え方と具体的な手順が書いてありますので、病院の医療安全関係者にはぜひ理解していただきたい分析手法です。

執筆の工夫
理論編と実習編に分けてあります。まず、理論編を理解していただくと、実習編におけるImSAFER分析手法は、この考えに基づいて手順としてまとめてありますので、理解が早いと思います。

こんな人に読んでいただきたい
病院の医療安全に関係した医師、看護師、薬剤師、その他の医療関係者
事故調査員、医療安全の教育担当者にも読んでいただきたいと思っています。

読むと何が得られるか
ヒューマンエラーのメカニズム、エラーに関する人間の基本的特性、対策の考え方、対策の発想の仕方、具体的なエラー事象の分析手法、安全なシステムの考え方、などを理解することができ、今後のエラー対策だけでなく、現場で働く人の満足感が得られるような改善の方法についてのヒントが得られると確信しています。

医療のリスク低減と作業効率向上の考え方

2019年12月1日(日) 京都で、「医療安全全国フォーラム2019」が、一般社団法人 医療安全全国共同行動の主催で開催されました。
テーマは「医療安全、これまでの壁を突き破る新たな第一歩を!」でした。
その第2部のシンポジウムで、講演2「医療のリスク低減と作業効率向上の考え方」という演題で、私の考える医療安全の取り組み方を紹介しました。
その時の内容を紹介いたします。

医療のリスク低減と作業効率向上の考え方
~全体説明~

医療のリスク低減と作業効率向上の考え方
1.医療の現実を理解する

医療のリスク低減と作業効率向上の考え方
2.基本的考え方と日本での取り組み

医療のリスク低減と作業効率向上の考え方
3.問題解決の方向性

医療のリスク低減と作業効率向上の考え方
4.具体的対策(具体的取組)と結論